screen shot from http://zdt.gaga.ne.jp/
こんばんは! 好きな映画は、クリントンイーストウッドの『父親たちの星条旗』な榎本晋作です。
なんで、この映画が好きかというと かつて、第二次世界大戦の戦費調達のためにヒーローにされた英雄たちの苦しむ様を描き 「戦争に英雄はいない」という強いメッセージ性があるからです。
さてさて、上記のような映画にメッセージ性を求める僕が、映画『ゼロ・ダーク・サーティ』をレイトショーで観てきました。
今日は、この映画の感想を書きたいと思います。 少しだけネタバレがありますが、基本的に、観る必要がなくなるほどのネタバレはありません。
※あくまで僕の見解なので、正解ではありません。
前にもこのブログで書いたのですが、僕はこの映画をアメリカのシリア内戦参加のためのプロパガンダ(政治的煽動)だと思い込んでました。
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アメリカのシリア軍事介入の可能性を考える
ですが、昨日、映画を実際に観てみたら、よくわかりませんでした。 よくわからないというのは映画の意図(メッセージ)です。
■僕の公開前の予想
公開前の僕の予想では 「アルカイダやビンラディンは非常に怖い軍団でした。 我々は実際にそれを体験して感じたはずです。年月が経っても、それを忘れないようにしましょう。」
という描き方で、イラク戦争の時のように、世論を「アルカイダというキーワードを聞くと、多少の異常行動でも肯定されてしまう」ように持って行こうとしたのだと思ってました。
■意外にもアルカイダ=悪でアメリカ=正義という感じではなかった。
上記のようなプロパガンダ的側面に関しては意外にアメリカ側の非人道的な部分も描かれてたし、そういう目的で作られたものではないという印象です。
ビンラディン殺害について、オバマの再選目的のためとも言われてますが、それなら、何が何でも、公開日を大統領選選挙前に持ってくるはず。
ですが、実際に公開された日は2012年12月(予定日は10月)大統領選挙は2012年11月です。
■ビンラディン殺害の噂の真相について
本当はビンラディンは、2010年には亡くなっていてこの作戦はアメリカのでっちあげという説もあるようですが、この映画では、ラストで、その点についてぼかされていました。 (詳しくは映画を見てください。)
■アメリカ政治の礼賛ではないが、中立的でもないと思った理由
では、中東国家やテロリストについてどのような立場を取っていたかと言うと、決して、中立的ではなく、やはりアメリカ側の映画でした。
まず、100%アメリカ礼賛でもないと言えるのは、イラク戦争のミスは認めていたり、非人道的な拷問を描いていた点からです。
また、罪のない子どもたちの悲しみをしっかりと描いてました。 (ここは個人的にすばらしいと思いました。)
しかし、中立とは言いがたいと感じます。
なぜなら、中東国家のテロリストに対しては徹底した悪という描き方だったからです。
拷問のシーンに対し、拷問の正当性はしっかりと描かれてましたし、殺害行為にたいしてはヒーロー映画で敵を倒すかのような演出でした。
中立的な形にするならアメリカとビンラディン、イラン・イラク戦争の際に仲間だった歴史なども描くはずだからです。 (ビンラディンが所属するムジャヒディンという部隊を支援していたのは アメリカです。)
■ゼロ・ダーク・サーティはかっこよかった
2時間半の長い映画ですので、最後のシーンが一番印象に残る人も多いと思います。
僕の中で、一番印象に残ったのは、最後の作戦実行のシーンです。CIAの作戦実行部隊が めちゃくちゃかっこよくて、まるでアメリカンフットボールや野球の試合を間近で観ているようでした。
やってる行為の評価は別として、本当に鍛えられた部隊の作戦実行能力はかっこいいと一言で表現できるものでした。 演出的な側面だけを評価するなら、シーンだけでも観に行く価値はあると思います。
■総評価
個人的な感想ですが、制作の際に様々な軋轢が生じ、当初あったメッセージが伝わりにくい作品になってしまったのだと思います。
ただ、実際に9.11を体験した人からは、見え方の違いなどがあるのだろうかが気になる作品でした。
再三、ブログでも書いてますが、僕は理想主義者の側面が強いので、この映画の持つメッセージで誰かの血が正当に流れるメッセージでなくてよかったと少しほっとしている部分もあります。
【追記】 ブログのアクセス解析を見ると『ゼロ・ダーク・サーティ』ではなく、『ゼロ・ダーク・シティ』というキーワードでの流入が結構ありました^^; 全く関係ない話ですが、僕も人に話す時によく間違えます^^;

Shinsaku Enomoto

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